主要放送局54局の企業別放送分数から前年との比較を行いながら、
2017年のテレビ通販番組を振り返ってみた。

1位:オークローンマーケティング、商品別でも1・2位独占

オークローンマーケティング(以下、OLM)が販売するフィットネス器具「スレンダートーン」の累計出稿量が昨年の累計10万8,011分から昨年比9%増の11万8,116分となり、商品別のランキング全体でトップとなった。元サッカー選手をCMキャラクターに起用して同社得意分野のダイエットソリューションを消費者に提案し、テレビ通販商品として大きく広がりをみせて通年で堅調に推移した。
また、寝具シリーズ「トゥルースリーパー」(累計出稿量10万297分)も商品別で2位にランクイン。低反発ピローからマットレスカバーまで、豊富な品揃えでロングランヒット商品となっている。さらに「カラーラ(キッチン家電)」が昨年から132%もの増加率をみせ、昨年の18位から4位、「楽ちんヒアリング(集音器)」が昨年比3,824%増で12位、「フードシーラーピタント(真空パック器)」が同29%増で17位、「リノベーターマルチツールキット(工具)」が同25%増の22位など他の商品の放送量増が大きく寄与し、事業主別出稿量で2位となったテレビショッピング研究所に約2倍の差をつけてトップになっている。
ただ、「ワンダーコアスマート(腹筋マシーン)」や「セラフィット(セラミックフライパン)」など、出稿自体を減らしている商材も多数あり、同社全体の出稿はほぼ横ばい(99.9%)となっている。

2位:テレビショップ研究所、主力商品出稿量減を他でカバー

事業主別出稿量で2位となったテレビショッピング研究所では販売する「H2OスチームFXセット」の出稿量が6万7,671分減となり、商品別出稿量ベースでは昨年の2位から5位となってしまったが、「マジックトリマー(植栽カッター)」が昨年比277%増の3万2,500分で16位。「フレーバーストーン(フライパン)」が3万1,395分で20位、「グラネスファースト(マッサージ器)」が2017年からの新規投入ながら2万6,794分で25位となるなど他の商品の投入により前年比104%の出稿量を確保した。

3位:ジャパネットたかた、アイテム数は第1位

ジャパネットたかたは1つの商品に偏ることなく272種もの商品アイテムを投入し、事業主別出稿量では3位に。そのほとんどの商品が家電、ホームDIYなどで新規投入商品も83アイテムにおよぶ。総出稿量は前年比20%増の18万227分となった。商品別では「TOSHIBA サイクロン式クリーナー トルネオ V」の76位(同1万254分)が最高位となっている。

4位:キューサイ、放送時間大幅減

キューサイは企業別出稿量が前年比10%減となり、上位10社の企業の中では最大の下げ幅となった。
商品別でみると「コラリッチEX」が昨年比6%減、「コラリッチBBクリーム」同53%減と化粧品の出稿量が減少する中で、「ひざサポートコラーゲン」が前年比24%増の6万3,553分となり商品別では6位となった。

5位:新日本製薬、「パーフェクトワン薬用ホワイトニングジェル」が商品別3位

新日本製薬は展開する「パーフェクトワン薬用ホワイトニングジェル」の累計出稿量が同402%増となり、商品別で3位となった。一方で「パーフェクトワンモイスチャージェル」では74%減となっており、パーフェクトワンブランドとしては10%の伸びとなっている。同じブランド内の訴求商品を変えることにより、消費者ニーズを喚起していく手法の成功例と言えそうだ。

6位~10位のランキングは?

事業主別で6~9位はエバーライフ、サントリーウエルネス、アサヒ緑健、ディノス・セシールと昨年までと変わらぬ顔ぶれが並ぶがその中でも注目したいのがエバーライフ。同社の「艶肌美人 クッション コンパクト」の累計出稿量が前年比475%増の4万4,753分で商品別では10位、新規投入した「皇潤極」が1万5,380分となり、48位となった。一方で「飲みごたえ野菜青汁」が同40%減(2万213分減)、「美・皇潤」が同50%減(8,350分減)となっており、テレビ媒体での訴求商材の転換に成功している。また、サントリーウエルネスは健食、化粧品を取り扱う単品リピート通販企業にもかかわらず、20ものアイテムをテレビ通販市場に投入し、前期比97%とほぼ横ばいをキープしている。
10位は富山常備薬グループの年間出稿量が34%増の6万3,857分と上位10社の中では最大の増加幅となった。その中でも主力商品の「リョウシンJV錠」の出稿量が同8%増の3万9,787分、「キミエホワイトプラス」が同126%の1万5,771分と伸びを見せ、前年の13位から上位10社入りを果たした。

飛躍的に伸びている商品は?

2017年に飛躍的に出稿量を伸ばした商品としては、化粧品「クッションファンデーション」(銀座ステファニー化粧品)が累計2万6,125分増、健康食品「おなか快調宣言」(愛しとーと)が同2万5,047分増、医薬品「ラークセブン」(日本薬師堂)が同2万4,468分増、健康商品「神秘の健康力」(金氏高麗人参)が同2万4,285分増となっており、これら商品が各社が拡販に注力している戦略商品だといえる。

2017年の注目の新規参入商品は?

2017年に各社が初めてテレビ通販で露出させた商品のうち、注目されるものはティ・ユー・エフが販売するキッチン家電「赤外線サークルロースター ザイグルボーイ」(出稿量6,699分)やEBM PRODUCTが販売する化粧品「CCファンデ シャイニーリッチ」(同 6,149分)、健康の杜の健康食品「実りの雑穀青汁」(同5,913分)、えがおの健康食品「黒酢黒にんにく」(同5,776分)、健康家族の健康商品「伝統にんにく卵黄 プラスアマニ」(同5,396分)、銀座ステファニー化粧品の健康食品「プラセンタ100コア」(同 5,127分)など。 キッチン家電(ティー・ユー・エフ)はBSを主戦場とし、健康食品(健康の杜・えがお・健康家族・銀座ステファニー化粧品)は地上波を主戦場としているのが興味深い。

商品別ランキング

事業主別ランキング